設立経緯と背景

設立に至る経緯と背景(旧組織)

私たち障害当事者7団体を中心にして、さまざまな団体が相集い、2000年4月に施行された「介護保険制度によって障害者福祉が後退している」現実を踏まえて、この不合理を打開すべく、2001年4月「障害者福祉と介護保険制度・研究会」を設立いたしました。以来7回の世話人による研究会、2回の「公開研究会」(参議院議員会館第1会議室にて、それぞれ、各団体代表など約100名が参加)を行ってきました。また、10月8日には、障害者団体および政党代表を交え、「公開シンポジウム・介護保険で後退した障害者福祉」(於・早稲田大学・国際会議場、参加者約400名)を開催し、その実情と本質的な問題点を明らかにしてきました。介護保険制度施行により、「介護保険優先」によって、障害者の福祉の目標が大きく変わって、本人の自立よりも介護の意味が強く打ち出され、提供される公的な福祉サービスの内容や水準が大きく後退したことであります。加えて、そもそも長く雇用の機会を失い、資産の蓄積がないか、少ない障害者が介護保険の保険料負担と、サービスの利用における1割の自己負担をすることになった、この経済的な問題は、従来でも不十分であった障害者福祉のレベルをさらに引き下げることになりました。


このような経緯を経て、2001年の「障害者の日」である12月9日を機して、従来の会の名称を、『障害者差別禁止法(略称JDA)を実現する全国ネットワーク』に改めて、ここに全国的な運動の展開を開始することになりました。今後は、より多くの障害当事者団体や障害者個人(その家族を含む)、専門家なども加えて法律制定に向けての研究と活動を、全国民的な運動として展開してまいります。


■組織名の略称「JDA」について
「JDA」は、Japanese with Disabilities Actの略称で、「日本での障害のある人に対する差別を禁止する法律」を実現したいという願いを込めたものです。


■当会設立日の「障害者の日」(12月9日)について
「障害者の日」は、1993年(平成5年)11月、障害者基本法の成立によって法制化されました。「12月9日」は、国連が1975年の同日「障害者の権利宣言」を採択し、障害者の基本的人権と障害者問題に関する指針を示した日です。同法第6条の2には、「国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めると共に、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるため、障害者の日を設ける」と規定されております。ただ、前述のように、日本での実態は、国際水準を大きく下回るところにあります。私たちは、この現状を、新しい法律「障害者差別禁止法」を成立させることによって、障害を持つ人々の、国民としての権利と義務を100パーセント確保したいと念願しております。