設立趣意(旧組織)
私たち障害当事者7団体は、2001年12月9日(障害者の日)に、「障害者差別禁止法(略称JDA)を実現する全国ネットワーク」を設立いたしました。
ここに至った趣旨は、2000年4月より開始された介護保険制度は、実施後の経過を見ると、介護サービスを利用したい高齢者のみに偏った制度であることが露呈し、障害者の立場から見て、これを「このまま放置するわけにはいかん」というところに発したものです。
すなわちこの介護保険は、高齢者介護を中心に組み立てられ、障害があっても自立し、社会参加しようとする障害者の人権は、完全に無視されていると、いわざるをえません。これがこのまま推移すれば、これまで関係者によって少しずつ積み上げてきた障害者福祉と、障害者のQOLの向上を阻害するものになります。そこで、この問題に危機感を抱いた有志の団体により、2001年4月に、「介護保険で後退した障害者福祉」に関する研究会(「障害者福祉と介護保険制度・研究会」)を立ち上げました。
障害者は高齢に至らなくても、若年の時から、より多様な障害、後遺症を抱えて生きているものです。そして、全生活に亘り介助が深く関わらざるを得ず、そのことを避けては通れません。
そもそもこの介助については、障害者と高齢者については本質的に異質のもので、障害者は一生涯障害者であり、固有の介助や自立の支援が必要であります。新しい介護保険制度は、1993(平成5)年制定の「障害者基本法」と矛盾し、その基本精神を踏みにじるものであります。よって私たちの活動は、この原点の精神を再び検証し、「真の障害者福祉の確立」を目指すものであります。
また、この介護保険問題に加えて、2003年の施行を前提にした、障害者福祉の構造改革と称する「支援費制度」問題が浮上してまいりました。これも、提示された原案には多くの不安点があり、介護保険と並行して検討する必要に迫られております。このことについても、当研究会の大きな課題になりました。その結果、このように次々と課題が集中することは、現在の日本の障害者福祉制度はいまだ未熟であり、個々の制度の改善、見直しでは視点が狭く、現象に惑わされる恐れがある、という結論になりました。障害者の人権が確立されるためには、障害者福祉の根幹からの変革を図り、総合的な制度・政策を確立することこそが必要である、と信じます。この総合的政策については、既にアメリカの「ADA(障害をもつアメリカ人法)」があり、これは障害者の基本的人権、差別禁止等が謳われています。
そこで私たちとしても、障害者が住みよい社会の実現のため、将来に向かって、日本版「ADA」すなわち「JDA」を実現する全国ネットワークを設立した次第です。もとより、この実現への遣は前途多難であり、一朝一夕に達成できるものとは、考えておりません。何とぞ各位におかれましても、この私たちの趣旨をご理解賜り、私たちと共に肩を組み、近未来にJDAを実現することに結集してくださいますよう、お願いいたします。また、この課題に深いご理解をお持ちの方々の絶大なるこ支援をお願い申し上げます。