設立の目的と狙い

設立の目的とねらい(旧組織)

私たち障害当事者7団体は、「障害者差別禁止法(略称JDA)を実現する全国ネットワーク」を、2001年の「障害者の日」である12月9日を概して設立いたしました。その目標は、以下の当会の「会則・第1条(目的)」に明示しているとおりです。

本会は、心身に障害をもつ人が、人間として何らの差別なく人権を保障され、自らが権利を行使し、義務を果たすことができるよう、必要な法律を定め、社会のあらゆる場面において「完全参加と平等」が実現されることを目指す。そのために、『障害者差別禁止法(以下、略称「JDA」という)』を、2004年
12月9日(障害者の日)までに実現することを目的とする。


ここに掲げたように、私たちのねらいは、2年後の2004年12月9日(障害者の日)を目指して、『障害者差別禁止法(略称JDA)』を国会で成立することです。ご存知のように、日本には現在約580万人の障害のある人達がおります。その方々は、先進国といわれている日本国民でありながら、教育、雇用、医療、
移動、レジャー、さらには選挙権、被選挙権の行使などにおいてなど、様々な場面で、利用の機会、便益を受けることにおいて、不可能や不便を受けており、それは差別、人権の侵害と言わざるを得ない場合もあります。障害のある人は、それぞれのもつ障害や疾病からくる痛み、悩みなどはもちろんのこと、日常生活での種々の局面で、こうした機会不均等の状態からいまだ開放されない場面を多く持っています。


わが国には、1993年に施行された「障害者基本法」が存在します。しかし、この法律は、国や公共団体などの施策面での「努力目標」を定めているにすぎなく、障害のある人が、国民として同じ権利や義務を行使できるよう、差別の禁止や権利の侵害から救済するための具体的な規定となっていません。この点において、わが国は国際社会の中で著しく立ち遅れております。国連では、障害者の権利宣言(1975年)に続いて、1981年を国際障害者年と定め、翌年には「障害者に関する世界行動計画」を採択しております。そして、1983年からの「国連障害者の十年」では、「障害者の完全参加と平等」の目標が掲げられました。また、1993年には、「障害のある人の機会均等化に関する標準規則」が定められ、「各国の政府は、障害のある人の完全参加と平等という目的を達成するための措置の法的根拠を作成する義務がある」とされました。この国連の動向を踏まえて、アメリカ、イギリス、オーストラリア、カナダ、などで、障害のある人に対する差別を禁止する法律が次々と制定されております。


アメリカでの「障害をもつアメリカ人法(ADA= American with Disabilities Act)」、イギリスの「障害者差別禁止法(DDA=Disability Discrimination Act)」など、注自すべき法律が誕生しております。ところが日本は、2001年8月に国連から「障害のある人に対する差別を禁止する法律の制定」を勧告されているほど、立ち遅れております。その上、障害者の権利の確保と差別の撤廃をすすめる国際情勢が急速に進む中で、わが国においては、2000年4月の介護保険制度の開始に伴い、「障害者も従来の障害者関係福祉の法よりも、介護保険制度を優先して適用する」という、極めて乱暴なことが、厚生省(当時)の、実に介護保険法開始1週間前の課長通知によって、「障害者福祉は大きく後退した」のであります。


そもそも高齢者、なかんずく寝たきりや痴呆の高齢者の介護のために施行された介護保険制度をもって、本人の自立をめざす障害をもつ人々の福祉を行おうとする厚生行政には、呆れるというより怒りを感じる次第です。「障害者施策の不合理と問題点」は、そのままいまの日本の立法と行政の哲学、理念の欠如を示すものであります。ことここにいたり、私ども多くの障害者団体は、障害種類を超えて、全国的に連携を図り、「ADA」や「DDA」の日本版を実現する以外に、「長く続いた障害者福祉の基本的な問題を改善する方法はありえない」という結論にいたり、手をたづさえて運動を展開していくことになりました。